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「へび」を調べる - 蛇の遺物に見る民族の流れを探る - |
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第12章 蛇の目模様の起源 追記(2011.4.1) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第12章一節で、環状(同心円)にすること。 その形状に対しての思想と起源を見てきました。 その上で 『 『蛇の目』というのは 本当に”へびの目玉”の形状から そう呼ばれるようになったのだろうか? |
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二、目の思想 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
①生き物の視点から | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅰ・鳥の目 魚の目 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一、蛇の目の意味 において”蛇の目” は へびの目玉の形状から来ていると調べ掲載してきました。 へびは、まぶたが無い事、脱皮をする事、手足が無いなどによる特異性から古代より崇拝されてきました。そして、いつしか”へびの目”は”じゃの目”として意匠化され時に護符といった呪術性を帯びてきました。 しかし、 へびの目と同様な目をした動物は他にもおります。
自らよりも大きい動物を襲うワシ、タカ類、動物の屍を食らう掃除屋コンドル類、これら鳥も時に鳥葬(死体を鳥に捧げ)天に帰る助けをし神聖化されてきました。そして空を飛べるということは充分崇拝の対象になりえます。そういった鳥達の目も形状は”同心円”といえます。 魚類も海からの恵として古代より大切なものとされてきたことでしょうし、逆にサメの様に人を襲う種もおり崇拝されてもよさそうです。大型の鯨もサカナではありませんが、古代の人々には偉大なものであったことでしょう。 もちろん鳥類のすべてが同心円というわけでなく瞬きもします。魚類もよく見ると瞳孔が完全な円でない種も多く、瞬きもするサメもいます。しかしそれはへびも同様ですべてのへびの目玉が同心円ということではありません。 そういった中で、同心円状のものを”蛇の目”と呼ぶことに改めて日本人とへびとのつながりの強さを感じるのです。 |
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Ⅱ・ジャノメと付く動植物 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
生物の中に自らの模様を同心円のように表し、”目”のように擬態化(カモフラージュ)し天敵から身を守る生物が多くいます。 ジャノメチョウの貢で記しましたが、ジャノメチョウの大きい目玉模様は鳥に恐怖心を与えるため。小さい目玉模様は後翅にあり、自らの顔と見せかけそちらを鳥につつかせて被害を最小にし逃げるというものです。 そういった鳥の本能をジャノメチョウは生まれ持って知っているという事です。 現時点で和名に「ジャノメ」と付く動植物はジャノメイシガメ、ジャノメガザミ、ジャノメチョウ、ジャノメドリ、ジャノメナマコ、ジャノメエリカ、ジャノメギク、ジャノメキンバイ、ジャノメマツ、ジャノメアカマツ で、第九章に詳細は記しています。(未編集もあります。) これらジャノメと付く動植物のほとんどに”へびの目”といった学名(ラテン語名)、英名がでてきません。 唯一”ジャノメアカマツ”のみ [学名:Pinus densiflora f. oculus-draconis]でOculusはラテン語で「目」を意味し、draconisは「ドラゴン、竜」 [英名:Dragon's Eye Pine]もそのまんま 竜の目松です。 これはおそらく松の原産国が日本であり、その園芸品種のジャノメアカマツを命名したのが日本人であったから、あるいは日本の盆栽などに精通していた外国人が命名したものと思うのです。 このことからも 同心円状の模様が”蛇の目”と呼ばれるようになる日本特有の面白さを表している事例といえます。 |
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Ⅲ・擬態化し 目 になる 動物達 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
先の「ジャノメと付く動植物」で記しましたようにジャノメと付く動植物には同心円状の斑紋がありました。 ジャノメと付かないもののそういった眼状紋と呼ばれる目玉模様の生物が両生類、昆虫、タコや鳥類といます。その中でも魚類と蝶々や蛾の仲間には多いようです。 なぜこのような目玉模様、眼状紋があるのかまだ理由も分からない種類もいるようですが、ジャノメチョウの項でも記しましたように、いづれの動物たちもも2つのパターンにあはてはまるように思います。 1つ目は 眼状紋をみせることにより 2つ目は 小さい眼状紋を 頭部と思わせそちらの擬態した模様を犠牲にし、逃げること。 または 例えば昆虫が鳥などの目に成りすます、魚などが自らをより大きく見せるため。といった自らの姿を偽る。 といったパターンです。
また、餌の近くに”=+○◎”などの模様を隠し、鳥が来た時に見せるとどの模様をこわがるか?といった実際の実験でも、○をこわがり、◎は更にこわがることも判明しています。 また違う実験で、カイコに大きさの違う目玉模様をつけたとき、小さな目玉模様のカイコにはムクドリは攻撃を仕掛け、1cm以上の目玉には驚くという結果もあるようです。(目玉模様をまったくこわがらないムクドリがいることも判明)[*92] このように目玉模様を持つ生き物達は、眼状紋が相手に与える影響を本能のように生まれ持って知っているということであり、眼状紋を持つ事によって過酷な自然界を生き残ってきた証であるといえます。 そしてこれからご紹介する眼状紋を持った動物たちの学名にも ”へびの目”といった呼ばれ方はあまり無いようです。 ラテン語 「蛇」・・・ ”Serpo” ”Serpens” ” serpentis” ”Angue” ”Anguis” ”draco” 英語 「蛇」・・・ ”Snake” ”Serpent” イングランド 「蛇」・・・ ”Worm” 翻訳には自信がありませんが 蛇といった表現はされていないようです。 |
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◎魚類 脊椎動物亜門[Vertebrata] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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Regalecusは、ラテン語のregalis(王)とalex(ニシン)から成り立った 語で、種名(russellii)は人名に由来すると思われる。 |
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同じベラ科の”ヒラベラ”[yrichtys pentadactylus (Linnaeus,1758 ) ]は目の横に3つの眼状紋が並び胴体の真ん中にもうっすら黒い黒斑がある。 目だけでも左右で八個あるようにみえる。 |
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◎軟体動物門 [Mollusca] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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◎両生類 両生綱[Amphibia] 脊椎動物亜門[Vertebrata] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◎カエル コロンビアヨツメガエル[Pleurodema brachyops] 後ろ足付け根辺りの腹部、両側に目玉模様(眼状紋)がある。黄縁の黒斑 |
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◎昆虫類 節足動物門[Arthropoda] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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そのほかの
このように生まれ持って蛇の目模様を持つ動物たち。 天敵は、鳥や大きな魚などだけであっただろうか? 案外人間の視覚にも本能的に訴えるものがあるのではないだろうか。 |
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*87 「週間朝日百科 動物たちの地球85」 魚類Ⅰサメ・エイ・ヤツメウナギほか 発行人:大峡弘通 編集人:長塚進吉 発行所:朝日新聞社 発行:1991 *89 「さかな大図鑑 (愛蔵版)」 発行者:小西和人 発行所:㈱週間釣りサンデー 著者:荒賀忠一 高松史朗 望月賢二 小西和人 今井浩次 学生の時にこの”さかな大図鑑”を見つけ「ほしい~~~!!」と思ったのだけどアルバイトをしたこともない私に定価1冊9800円は手が出せなかった。修行に出て、初任給の半分を両親に送り、翌月コレを買いました。修行時代もほんとによく読んだなぁ。 今でもこの愛蔵書は色あせていません。 *90 ニューワイド 学研の図鑑 「ニューワイド水の生き物」 発行人:伊藤年一 編集人:鈴木進吾 株式会社学習研究社 2000年 *91 ニューワイド 学研の図鑑 「世界の昆虫」 発行人:岡俊彦 編集人:志村隆 株式会社学習研究社 2004年 *92 「週間朝日百科 動物たちの地球003」 生活戦略③逃げる・隠れる・だます 責任編集:常吉豊 編集人:野上毅 発行所:朝日新聞社 発行:1991 |
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②世界の視点から | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅰ・お守りとして | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ナザール・ボンジュ( Nazar Boncugu ) シュメール文明起源 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ナザール ボンジュウ はトルコ中心に ハムサ 中東において これらお守りは現代でも使用されているものです。 その起源は古く、現在見つかっている最古の文献は紀元前3世紀頃のシュメール時代のもので、シュメール王家の墓からメノウ製の「目」が発見されたようです。 その現物を見ていないのでどのような物かは判りませんが、 もしかすると 『へび調査隊記』 古代カルタゴとローマ展 で見た マスク形ペンダントの事か、そのマスク形ペンダントの簡略版、あるいはトンボ玉の事かもしれません。 このハムサは中東において、邪視に対抗するアミュレット、護符として青い円の内側に黒い円の描かれ塗られたボール(または円盤)が用いられ、 イスラム教徒とミズラヒムの社会では、ハムサを壁などにかけた。 ようです。
トルコ以外にも チェシェ・ナザール(イラン)・・・青いガラスに目が描かれたもの。 ハムサ(アラビア語)は、主に中東で使われる、邪視から身を守るための護符。
「目には目を 歯には歯を」というハンムラビ法典の言葉にもあるように 邪視には邪視をという思想から生まれたお守りのようです。が、こういった目のおまじない、お守りはローマ時代の鉢にもしばしば使用されたようです。 また不確定ではありますが、ナザール・ボンジュは メドゥーサとも重ねられているのではと思っています。 |
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ウアジェトの眼(wedjat eye) エジプト文明 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エジプト展などに行くとスカラベの装飾品とともに必ずといっていいほど目にする。左右のバランスもお構い無し。しかも目から涙とヒゲが出た安定感の悪さ、それでいて金や宝石などで豪華に作られたものも多く「なんだろう?」と思うものの1つではあります。しかし、ホルスの目とも呼ばれ古代エジプトのシンボルであったウアジェトは『完全なもの』『怪我無きもの』を意味する。
象眼細工[inlaid]などでつくられたウアジェトは、ネックレスなどの装飾品だけでなく、ミイラや棺に置かれる事もありました。エジプトの呪術的な護符としては最も人気があったと言われています。もちろん糞ころがしであるスカラベも護符として同様の意味を持っていましたが、これは太陽の循環と糞の循環を重ねそして再生を願ったものであります。 ウアジェトの眼は棺の上に描かれるものもり、外の景色を見るためともいわれます。 しかし、わたくしは、このウアジェトも護符であるとともに、 ”月の目””ラー(太陽)の目”であることから、循環と再生の意味が込められれているものと考えられる訳です。 また、WIKIによると、処方箋のシンボルである”Rxマーク”とウアジェトの形状との関連性をあげていますが、これも同様に翡翠の大珠のような使われ方をされてきた理由の一つではないでしょうか。
ウアジェト眼も環状遺物で見てきた翡翠の大珠と同じように被葬者に置かれる場所が決まっていたわけでなくウアジェトが置かれた患部や魂をなぐさめる意味合いも持っていたことが推測できるのではないでしょうか。 |
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船首に | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
船首部分に目を描く風習は世界でも広く行われているようです。
このように 船に目を描くことにより 航海を安全に運ぶ、大海で迷わないようにといった護符、お守りとしての意味を持たせていた事が分かります。 |
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参考文献 *93 「図説 ツタンカーメン王」 著者:仁田三夫 発行:河出書房新社 発行人:若森繁男 2005年 *52 『古代エジプトの美展』図録 イートン・カレッジ/ダーラム大学所蔵 監修:ニコラス・リーヴス/クレイグ・バークレイ 編集:ニコラス・リーヴス/古代オリエント博物館 東京新聞 執筆:クレイグ・バークレイ/トム・ハードウィック/スティーヴン・クワーク ニコラス・リーヴス/ジョン・ラッフル/ハンス・シュナイダー/スティーヴン・スパー 発行:東京新聞c2008 *94 「週間朝日百科 世界の歴史14」 紀元前の世界3 生活 海に生きる 責任編集:小川英雄 編集人:野上毅 発行所:朝日新聞社 1989年 |
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Ⅱ・世界を見通す目として? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
正直、この目に関しては 都市伝説などさまざまな憶測が流れていてはっきり分かりません。
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プロビデンスの目 (Eye of Providence) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
神が全てを見通す目 であるようです。
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ボダナート (Boudhanath / Bouddhanath) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
四方を見渡すブッダの知恵の目 であるようです。
文はWIKI「ボダナード」(最終更新 2011年1月15日 (土) 17:56 ) 写真は(調査隊) |
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Ⅲ・ケルビムの目 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ケルビムとは「祈る」「祝福する」という意味の「カラブ(karabu)」という古いオリエントの言葉に由来する。 また、ケルビムは神の乗る動物として、先の『輪の思想』で記したように神と人間との「中間的存在」として天使と同じ仲間として表されている。 そのケルビムの翼には写真下の拡大図に示すように多数の目が表されている。これは別名”智天使”といわれるように知の象徴であり、『ケルビムの"全身、すなわち背中、両手、翼と車輪には、一面に目がつけられていた"』WIKI「智天使」 [最終更新 2011年5月9日 (月) 19:27] しかし、右写真ドラゴン。これは『聖ゲオルギスのドラゴン退治』という題の作品で、どういった思想からドラゴンに同心円が描かれたのか分かりませんが、ウッチェロのもう1つの作品のドラゴンにも円形紋が描かれている。 先の『輪の思想』で記したように神と人間との「中間的存在」として天使と悪魔が同様な存在だったとすればこのドラゴンもある意味 悪魔としての「中間的存在」であり、 ケルビムの翼の目とドラゴンの翼の同心円も 同様な意味を持っているのではと推測するのである。 ここでも 同心円と”目”というものが同じような思想を持っていることが分かるのではないでしょうか。 参考文献 *96 「天使の文化図鑑」 発行所:㈱東洋書林 発行者:成瀬雅人 発行:2006年 著者:ヘルベルト・フォアグリムラー ウルズラ・ベルナウアー トーマス・シュテルンベルク 訳者:上田浩二 渡辺真理 *97 「週間朝日百科 動物たちの地球131」 人間界の動物たち11龍、人魚、ゴジラほか 責任編集:祖谷勝紀 発行人:長塚進吉 発行所:朝日新聞社 発行:1994 |
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Ⅳ・メソポタミアの目 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
これらに代表されるようにメソポタミアの像には 特に目を強調したものがよく見られます。 「へびって!?」五、シュメール文明の最後の方に蛇足として書きましたが シュメールの粘土板には文学中 ”me”と記され「神力」と訳す部分がしばしば現れます。 このスメルの人達はたとえばシャーマンのように”目”に奇特な能力を備えた人々であったのではとも想像しています。 そういった能力や神秘性 と へびを崇拝していた民族が、他の国から見たら異質なものに見え、メドューサ(古典ギリシア語:Medousa)へと想像されたのでは?と推測しています。 メドューサとはギリシャ神話に登場する髪の毛の1本一本がへびで、その目を見ると見たものを石に変えてしまうという神です。 先に見てきたナザール・ボンジュウもシュメールに起源を持つ事からも メソポタミアの人々の目に対する思い入れを知る事ができるのではと思います。 |
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③日本の視点 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本国内でオブジェ?としてそのまま ”目”をかたどったものや描画などがあるかは調査不足で今のところ気づいていません。 m(_ _)m しかし、目を使った慣用句は非常に多く、下記に記すように目を使ったことわざの中にも”見るという器官”の機能だけでなく 意思疎通や先々を見通す意味も含まれる事に注目できます。
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目は重要 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◎ 目は目でも 硬くまとまっている様子 コブになっている様子
◎ 目は目でも アナが空いている様子
前者の”目”は 硬くなっている状態やコブになっている状態に”目”と付いているパターンです。 。その他にも 二枚目、三枚目という言葉があります。語源を調べれば歌舞伎役者の名前の書かれた看板に一枚目を主役、二枚目を美男役、三枚目を道化師としていた事による。といわれています。 これをわたくしなりに解釈すれば 一枚目という言葉自体使われないようにやはり2枚目が重要であった、そして一番要の主役を引き立てる三枚目も重要であった。という事になるのではと思うのです。 紙やページを数える時には一枚目、二枚目、 また1ページ目、2ページ目といったようにワザワザ ”目”という言葉を付けることによって一区切り感がでます。 これは人生の節目節目 と同じように ひとまとめ といった意味合いもあるのではないかと思います。 人生も、入学、就職、結婚という一区切りを節目節目といい、竹も節目があるからしなやかに高く伸びていけるのではと思います。 いづれにしても 時間軸での重要な場面、場所や、その物体自体が凝縮し硬くまとまる場面や部分を”目”と使っているようです。 そして、後者はその反対でもあるようですね。 網目、割れ目、切れ目、裂け目、分け目、台風の目といったように、空間を表しています。 しかし、網目もザルの目もその空いている大きさが非常に重要になってきます。魚にバレバレのような網の目では捕まえる事ができませんし台風の目も”目”がはっきりくっきりしているほど、勢力が強い事を表し、目が小さくなり無くなるほどに温帯低気圧へと変わっていきます。 割れ目、裂け目、切れ目も、その状態を何とか食い止めないと ちょっとした力で半分にあるいは粉々に割れてしまう状態といえるでしょう。はじめというように時間軸での始まり、重要な場面を表しているのではと思います。 分け目も 天下分け目、運命の分かれ目といった重要な局面でも使用します。時間軸でのはじめ、重要な場面のはじめという考え方では 前者も後者も似ている気がします。 わたくしは国語の先生でもなく”ことばおじさん”でもないので こういった解釈くらいにしかできませんが いづれにしても ”目”をつけることによってその重要度が増しているように感じます。 簡単に”重要”という事でまとめてしまいましたが、いかがでしょうか。 日本語の ”目” という使い方に ”蛇の目” ということばをあてはめて考えてみて下さい。 生き物の目にもヘビと似たような同心円の目をした動物がいますよ~~。 また、日本では同心円状の模様を持った生き物がジャノメと呼ばれるんですよ~~~。 とご紹介してきた理由が分かっていただけるのではと思います。 ヘビの目が 同心円だから”蛇の目”と簡単には言えないような気がします。 海外でも”目”という使い方をするでしょうか? そこまで調べていませんが この” プロビデンスの目が、フリーメーソンとか? いろいろな都市伝説などあるようですが、そもそも 動物たちも自らの体に模様をつくってしまうくらい ”目”って神秘的なものなんですよね。 |
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三、穴の思想 未完成の完成 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
蛇の目模様が へびの目玉の模様という理由だけでは無いという推定の中で 先にも見てきましたウロボロスや、環状遺物のように輪にするということについての考えです。 輪にするということ。それは穴ができるという事です。逆にこの穴ができることに、環状にする事にわたくしは意味があるのでは考えるのです。
なんで 穴(孔)が空いていて 完璧といえるのでしょうか? アナ という漢字に関係のありそうなものを漢語林で調べてみました。
”玉璧の穴”をGoogle翻訳すると”Jade wall hole” と約され、中国語ではどうなのかと ”Jade wall hole”をGoogle中国語翻訳すると”玉壁洞”と訳されることから ”洞”という字も漢語林で調べてみました。 結果として漢語林では いずれの言葉も ”アナ”の意 は ”あな(穴)” でありました。 ”目”という意味合いは無さそうです。 このHPでは子供でも分かるHPを目指しているため 玉璧のアナに対する記述もほとんどが円孔 ”孔”という字の使用例がほとんどです。 『Yahoo中国雅虎』(中国版yahoo検索)でも玉璧のアナは 洞ではなく”孔”が正しいようです。 面白い事にその”孔”の漢字の成り立ちは漢語林が記すように”子は、子供の意味。L は乳房を示し、子を育てるための乳の出る穴の意味を示す”なのです。 わたくしは アナというとまず女性の陰部を想像してしまいましたが、まず子育てのための母乳が出るアナが大切だったのです。 要するにアナというと墓穴というイメージがあったのですが、ソコから生み出される思想があることが分かります。 このものの考え方は”日本の目の思想”で 割れ目、分け目、裂け目、など中空なものにも目をつけることにより”はじめ”、とする思想、中空から事が動き始まる考え方と重なるのではないかと思ったのです。 そして、なんで 穴(孔)が空いていて 完璧といえるか? もう一つの考え方ですが、 日本には あえて一つ減らしたり、満たさないでおく思想があります。 ◎日光東照宮の陽明門裏側の左手2番目の柱は"魔除けの逆柱"と呼ばれグリ紋の向きを逆にし、未完成な部分を残している。 これは、家康遺訓「及ばざるは過ぎたるより勝れり」によります。 ◎江戸時代には「家を建てるときは瓦三枚残す」と言い伝えられる ◎京都府京都市東山区にある浄土宗総本山の知恩院御影堂の一番上の中央に2枚の瓦を故意に置き忘れている。 ◎徒然草 第八十二段 「すべて、何も皆、事のとゝのほりたるは、あしき事なり。し残したるをさて打ち置きたるは、面白く、生き延ぶるわざなり。内裏造らるゝにも、必ず、作り果てぬ所を残す事なり」 とあり、完全なものは決して良くはない、内裏を造る時も、必ず1か所は造り残しをする と記している。 これら、4項目は「物事は完成した時点から崩壊が始まる」といういましめであり、建造物をわざと不完全なままにしておくという思想によるものです。 ◎『茶の本』において岡倉天心は、「茶道の要義は、不完全なものを崇拝する」ことにあると説く。 ◎千利休の逸話にも、完璧に掃除された庭を嫌って、樹をわざと揺すって一面に葉をまきちらして満足した。 例えば、幸せを分け合うという思想も 満足しない思想につながるのかもしれない。 ◎ ◎ また、 ◎「関東のいっこ残し」という言葉があります。関西では「遠慮のかたまり」ともいいます。出された料理の最後の一つを残す事を美徳とするものの考え方です。 しかし「関東の・・・」と付いているものの、地方に行けば「甲州の・・・」「信州の・・・」「越後の・・・」といったように「○○のいっこ残し」熊本では「肥後のいっちょ残し」というように 最近聞かなくなってきた風もありますが、いろいろな場所でこういった慣わしがあるようです。 最後に残すことをかえって卑しいという考えもあるようですが、真巳子調査隊員が世界を旅していた時は中国などでお皿を平らげると、また料理が出て来たようで、残す事によって「満足しました。」と表現する国があることを話してくれました。 ◎ウォルト・ディズニーの格言でありますので、知らない方は少ないでしょう。 「ディズニーランドはいつまでも未完成である。現状維持では後退するばかりである。」 ◎先ほどの「プロビデンスの目」 のピラミッドも頂上が欠けた状態なのか、建設途中なのか満たされない状態にしてあります。 ”満足すると其処で伸びは止まる。” ”完成の瞬間 崩壊が始まる” こういった ”未完成の完成”というものの考え方によるものといえるのではないかと推測するのです。 中国に同様の思想があるものか分かりませんが推測の域から言えることは ③ 北京オリンピック 玉璧 の項で玉璧とともに また龍の喉元には 先ほどの関東のいっこ残しならぬ「中国の一個残し」。中国にも同様な思想があったのでは?と思うのです。 満足してはいけない。 完成してはいけない という戒めとしての先人の知恵から 未完成の完成といった思想へとつながったのではないでしょうか。 蛇足的なことを言えば 都市伝説ではありますが 世界一と言われるビルや建造物を作っている最中に経済危機が起こるといわれている。 エンパイアステートビルやドバイも経済危機の為、開業後も空室のままであった。 1929年 世界大恐慌 1931年 エンパイアステートビル竣工(最頂部 443.2m) 当時世界一 2002年 台湾島北部でM7.1の大地震が発生。この揺れで、5人死亡 2004年 台北101 世界一の超高層建築物(509.2 m) 2007年 世界金融危機(リーマンショック) 2008年8月28日 上海環球金融中心(SWFC) 492m 2009年 ドバイ・ショック 2010年1月4日 ブルジュ・ハリーファ ブルジュ・ドバイ 2011年 東北地方太平洋沖地震 2012年 春 スカイツリー開業予定 この後も 世界では クウェート「ブルジュ・ムバラク・アル=カビール(en)」 1,001m 2016年竣工予定 アラブ首長国連邦「ナキール・タワー」 1400m 工事中断中 サウジアラビア「キングダム・タワー」1,600m(1100m?) バーレーン「ムルジャン・タワー」1,022m などのビルが建設予定である。 高い建築物を建てる事が、バビルの塔のように神様の怒りを買うのか?あくまでも都市伝説なのか、 高いモノを造ったり、高い場所に行くことで、満足しきってしまわない様に注意が必要である。(笑) 孔の空いた玉璧をもって完璧と成す。 権力、財力、子孫繁栄を 足るを知って維持しようとした事が玉璧の孔から推測できるのではないでしょうか。 |
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四、弦巻の思想 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
この 『蛇の目って何ぞや!?』 は 第十章で一度 まとめました。 だけど、これも”蛇の目”では無いかと同心円やドーナツ状の物などに ついつい目がいっちゃうんですよね。 目がいっちゃうと言うと いまどきの人は ”ヤバイ目をした人”に映るかもしれませんね(笑) そんでもって 調べれば調べるほど 面白いんですよ。 でもこれって 自分が興味を持っていることだから楽しいんですよね。 例えば”蛇の目”というテーマでHPを作っていますが、 同じように楽しいと思えること、興味を持った事について調べたらそれはそれでいろいろな事に気づいたり新しい発見があるかもしれませんね。 ココだけの話ですが 子供の頃、自分の店の屋号に”蛇の目”って・・・ なんとなく いい感じではなかったんですよ・・。 でも 今は胸を張って”蛇の目”って、”へび”って奥が深いんだよといえそうです。 さて、 |
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蛇の目の起源は ”国内にある” といった固定観念の中でいましたが デザインを調べていくにあたり 蛇の目模様は世界にも そして 蛇の目の家紋にあたるものが 実はバビロニアにあることがわかりました。 現時点の最古の家紋とおもわれるバビロニア(広くは紀元前1800年~前500年)の ”蛇の目紋の起源”を 見て頂きたいと思います。 このころすでに ”蛇の目紋”があったということは それを意味するものがあったと考えられるわけです。 例えば 写真にあるように ”抱き茗荷”という家紋がありますが、茗荷はミョウガ(茗荷、学名:Zingiber mioga)でショウガ科ショウガ属の多年草です。それを向かい合わせて家紋としているわけです。家紋には幾何学的な模様の家紋もありますが、自分達のエンブレムに無意味な模様は無いはずです。 ”蛇の目”も同様に何かをモチーフにしていると考えられるわけです。 ではこの”蛇の目”と呼ばれる 同心円状のものは 何か? ヘビ(SNAKE)の目 といえば そうかもしれない。 しかし、そういった思想がいつごろからなのか?そういった側面からみてきたのが、第11章の環状遺物に当たり、第12章が根底にある思想ということになります。 (順番は ちょいと逆になっている感はいなめませんが、一度第十章でまとめてしまいましたので・・・。) |
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①バビロニアに蛇の目紋(家紋) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
『天皇アラブ渡来説』 バビロニア学会・スメル学会 共著 校訂補註編者 八切止夫 著書中 また、見開きの写真に掲載されている写真 による。 菊の御紋(菊花紋)については バビロニアの遺跡の模様と似ているといった著書もよく目にし、日本の国とアラブ地方との関連図書も多く見かけます。 同時に”月”や”太陽”状の家紋らしきものが施された境界石も、、多くのバビロニア、メソポタミアの書物でも目にすることができます。 しかし、明らかに抱き茗荷紋というように書かれている著書は今のところこの本くらいかなぁ。 これらはどうみても日本の家紋と同一のものです。 八切氏は著書中 日本の家紋の90%以上をバビロニアの遺跡から見出すことが出来ると述べている。 |
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②遺物の中の蛇の目(同心円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅰ・ シュメールの遺物の中に | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
それでは同じ、メソポタミア地方、シュメール文明の中の遺物に蛇の目と思われるものが無いか調べてみたいと思います。
少ない資料から コレだ!!と言えそうなものは判りませんでした。ただし、二匹の絡み合うへびのような模様と黒い目のような図柄は近い気もする。 先にナザール・ボンジュやハムサがシュメール起源と記しましたが、同時に目を崇拝していたことを記しました。 これらも同様に”目”を表しているのではないかと推測するのです。
しかし、写真にあるように 大きな穴と小さな穴の奉納額があるように、その奉納の仕方にはちょっとまった!!といいたい。 台風の目、網の目と同様に 穴が重要 という思想である。 未完成の完成 という 玉璧の思想にも通じるような奉納額のあり方ではないだろうか? |
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Ⅲ・ ロッドとリング(Rod, ring and rope) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ハンムラビ王(写真上)・ウルナンム神(写真下)ともに 棒とリング状の物を持っています。それでもウルナンム神の手に持つリングはロープであることがはっきりとわかります。 メソポタミアの資料のいくつかにこれは”建築の際の測量道具”と記されています。 わたくしは 何で測量道具を 王様が持っているのかなぁと以前より疑問に思っていました。 しかし『ROD AND RING”: INSIGNIAS OF FOREIGN RULE IN THE UR III AND OB PERIODS† Kazuya MAEKAWA』の論文(P215論集になっており、重い)で 納得いたしました。マエカワ氏が記すには これは、動物や奴隷をつなぐためのロープと鼻輪であるような事を書かれています。 確かに論文の写真中に鼻輪でつながれた奴隷の石碑図、牛につながれたロープの先にはロープを束ねたリング状のものが見えます。 牧畜民であったセム系の人が、その権力を示す物としてリングを持っているということなのです。いつしかそれは象徴として木製であったものが金属になった可能性も示唆しています。 (ただし、Google翻訳で翻訳しながらなので解釈に誤りがあった場合はご容赦願います。) そこでわたくしは 気づきました。 ロープのような紐をぐるぐるにした状態の物。 それは ”弦巻”です。 蛇の目を辞書で引くと後の方に書かれている”弦巻”。 蛇の目の貢でも記しましたが現在WIKIで検索しても世田谷の地名としてでしか表示されません。 しかし、シュメールにも起源を持つ日本人は知っていたのです。”弦巻”も”蛇の目”も同じものであったということを。 おそらく家紋がバビロニアにあり、言語も日本語と近い民族であったことも推測されることから、古代バビロニアにおいても ”じゃのめ”と言う発音であったかことも推測できるかもしれません。 そしてジャノメミシの『蛇の目ミシン工業』創業者 小瀬與作氏は偉大な文明シュメールの末裔だったのかもしれません?(なんちゃって) バビロニアだけでなくペルシャの紋章アフラ・マズダ神も同様にリングを持っています。 こちらもおそらくリングというよりも 弦巻であったのではないでしょうか?
確かに 権力の象徴であったリング状のものは奴隷や家畜をつなぐものであったかもしれません。しかしわたくしは ”リング状の物=弦巻”は文明の象徴であったのではと考えるのです。 人類は石器、青銅器、鉄器など、素晴らしい道具を発明してきました。これらは土に帰らないものばかりです。しかし、土に帰り人類の発明として形を残しにくいが、紐、ロープ、衣服を織った糸、これらも人類にとって欠かすことのできない最高の道具でした。 2万年のマルタ遺跡出土の女神にも衣服の痕跡があります。 住家、釣りの糸、石斧と棒を蔓で結ぶこと、生活するために必要不可欠なものであったことが推測できます。
蛇の目紋の起源を 第十章で調べている段階で、縄文時代に家紋の起源がある。という”うわさ”がありました。しかし、それが何か、写真や参考文献などが明示されていなく確信できなかったのですが、バビロニアに”蛇の目紋”の起源があり、おそらくそれが何を表していたのかが、これではっきりできたのではないでしょうか。 ただバビロニアの境界石がいつ頃の時代であったのか正確なことはわかりません。ただ現在解ることはバビロニアで境界石を用いたのが メソポタミア、カッシーナ朝の時代であることです。およそ紀元前2000頃ですので、縄文土器の蛇の目紋のほうが若干古い可能性もあります。 しかしわたくしは 世界はよりグローバルであったと考えますので、日本が最古であった可能性も考えられるし、世界は縄文時代以前よりすでに交易を行なっていたと考えますので、どこが起源かというのは難しいのでと思っています。 *56 『シュメル -人類最古の文明』 2005年10月発行 著:小林 登志子 発行所:中央公倫新社 P256 *95 「古代史発掘② 縄文土器と貝塚」 編者:江坂輝彌 発行者:野間省一 発行所:㈱講談社 発行:昭和48年 |
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五、蛇の目模様の起源 まとめ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第十章において蛇の目模様の起源 そして、一度まとめとして感想を述べています。 そして、その第十章におおよそ言いたいことは書いているんですよね。 まぁ これも調査をすすめて行った過程の面白さとおもっていただけたら ありがたく存じます。 さて ”蛇の目紋”(家紋)としてはっきりとした起源が、バビロニアにあることが分かりました。 わたくしが考えられる範囲から、その蛇の目紋が何をモチーフにしているか推測してまいりました。
これら思想は 蛇の目の起源にあたるものとして充分可能性があるもであり、すべてが蛇の目模様の起源と関わりのあったものと推測しています。 これら 『輪、目、穴、弦巻』を大事にする思想が、その時代時代に重なり合い融合しながら、今日の蛇の目模様の思想や意匠へとなっていったのだと考えています。 同時に人類の発展に必要であった思想であると思われ、特に日本人は同心円の模様にジャノメと付けたり、環状のものを意匠化したり、祭祀に利用して来たことがわかります。 そして、もう一つこの同心円(蛇の目模様)と重要に関わっていたものが、”へび”であるということです。 弦巻の思想でも改めて縄文土器の”へび”と”弦巻”と”蛇の目紋”を重ねましたが、こういった文明の道具が縄文時代以前にもあったことが推測できるわけです。 HP作製当初 ”蛇の目”を辞書や辞典で調べだし、弦巻という存在を初めて知ったものの、結局は辞書に記されるよう ”弦巻”に戻ってきてしまったことを面白くおもいました。 そして、この事により 何故 古墳に紡錘車が副葬品として納められるのかが理解できました。 「紡錘車なんて王様や権力者が必要にしないでしょう?」「おそらく、下級の位や庶民が ” しかし、ここまでの推測やこれまでに見てきたように、文明や権力を象徴する紡錘車もその意図するものは”形状”とともに”回転する道具”である事から 玉璧や環状遺物と同様に”再生と復活”を意味するものであると確認できるのではとおもうのです。 下記守山遺跡からは弦巻とロッドをあわせたような儀杖も出土しており、他の場所でも同様な儀杖が出土していた記憶があります。
そして 蛇の目の起源は弦巻と蛇の目紋のつながりからもわかるように、縄文時代以前の古代の人々の思想の中に生きていた。 ”へび”のように長いものを崇拝し、”へび”がとぐろを巻いた状態を環状のものに重ね 死と再生 輪廻や復活を願ってきたものであった。 と 『蛇の目の思想』についてまとめてみたいと思います。 そして 蛇の目紋を含んだ蛇の目の起源を 恥ずかしながら図にまとめてみました。 精一杯の知識を振り絞ったまとめのまとめなのに ほんとに適当な地図で申し訳ありません。 簡単に説明いたしますと ◎ピンク色矢印・・・矢印環状遺物の流れ ?状耳飾を含む装飾品、花輪(リース)としての副葬品の流れです。マリタ遺跡中心のシベリアバイカル湖から南下してモンゴロイドの流れとして日本の東北地方に入ってきているルート。 同様にメソポタミア、エジプト文明を通って日本に入るルート。 それ以前の時代は分かりません。 ◎水色矢印・・・蛇の目紋の流れ メソポタミア(バビロニア)の境界石に蛇の目紋と思える家紋が出土していますので、その流れを推測しています。 『五、シュメール文明』の項に記しましたがシュメール民族中央アジア起源説の根拠である崑崙山脈ホータンからの起源をとり、日本に入るルートです。 個人的には殷=商 商人=蛇の目という調査から殷を経由している可能性をあげました。 ホータン以前の時代は同様に分かりません。 ◎みどり色矢印・・・環状列石(ストーンサークル) シベリア、モンゴルあたりから東日本にかけての環状列石のルートが一つ、イングランド、スコットランド周辺からアフリカセネガル、インド 日本では足摺巨石群 唐人駄場ストーンサークルを筆頭に九州~機内にかけて東北地方とはまた違った環状列石群が伺えるのであえて別ルートに現しました。 この図を見ても「よくわかんな~~い。」 と思われた方もいることと存じます。正直言って こんな簡単に人類の移動 思想や文化が現せるものじゃないほど 古代の方々はよりグローバルに世界を渡っていたのではというのが本音です。 今では遺伝子という決定的証拠によってより真実に近い議論がされることでしょうが、DNAが見えないほど古い時代は分からないでしょうし、思想や文化の流れを解き明かす事は更に難しい事でしょう。 今回、玉璧の起源ということでシベリアのマリタ村という存在を知りました。マリタ村には日本人そっくりの民族が居る事にうれしさと学ぶ事の楽しさを感じました。 マリタ村ではどのような遺物や文化があったのだろうと 「モンゴロイドの道 朝日選書523」*88を見てみました。マリタ村の内容を一冊にまとめた本ではありませんでしたが、モンゴロイドが世界各地に居る事に興味を覚えました。 世界を調べていると なんだか どこがルーツでもどこが起源でも いいなぁ と言う いいころ加減な環状(感情)がぐるぐる めぐってくるんですようね。 生き物だって体にジャノメをつけているんだもん。 きっと蛇の目紋の歴史はもっともっと深いと思うなぁ。 『蛇の目の起源(ルーツ)』を 地図にしてここからスタートで日本に入ってきたと表せないほど複雑であり、生物が同心円を体に描くほどに太古より意識されるものであったと推測するのです。 そして 縄文時代以前も以後もよりグローバルに世界中を運航あるいは渡り歩いていたのではないだろうか。そうやって、波が幾重にも押し寄せるようにこの日本に流れながら”蛇の目”という形で融和していったのだと思います。 |
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六、蛇の目って何ぞや!? まとめ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
わたくしがこのHPで言いたいことは 世界のみんなが輪(和)=同心円のように一つになれたらいいなぁ。という事です。 それは第十章でまとめた事でもあり、このHPを作り始めた時、プロフィール欄の”巳右衛門”をクリックしていただけていたのならば、結論と言いたい事はご理解いただけたのではとも思います。 あえて「へびって?」「蛇の目って?」と章を綴り、総論として「蛇の目って何ぞや!?」をまとめるとすると・・・。
参考文献 *5 P41 [12縄] 縄文時代前期(福井県鳥浜貝塚出土/福井県教育委員会蔵) 日本歴史展望 第1巻 原始ー古墳時代 「埋もれた邪馬台国の謎」 責任編集:上田正昭 田辺昭三 旺文社 あとがき わたくしは「 また、この度 第12章をまとめている最中、東日本大震災と原発の被害という苦難も起こりました。被災地の皆様に心よりお見舞い申し上げたく存じます。 最初のプロフィール中にも書きましたが日本に生まれて如何に幸せか、自殺者が多いことの危惧、などにも触れていますように、 人間や生物の神秘や生命力にまで つなげてきた この「蛇の目って何ぞや!?」でわたくしの書きたかったこと。 私自身にも言い聞かせている事でもありますが、 ご先祖様たちが幾多の困難を乗り越え今のわたくしがあることへの感謝でもあります。 「努力していれば報われる。」 内なる細胞のDNAにイメージとして ”前向きに” ”ポジティブに” 働きかけたのならば、”へび”という動物が崇拝されていた理由でもある 長寿と健康 商売と金銭運 水と豊穣 など こういったものに恵まれる。得ていくきっかけになる。と信じております。 人間を含め生物は 強く念じそれに向かって努力する事によって、夢を実現できる可能性をさまざまな学問のなかからも確認できのではないでしょうか。 最後に 本文中 さまざまなサイト様や参考文献、資料から引用させていただきましたことを感謝すると同時に、調査隊としてお付き合いいただいてる皆さんや家族に感謝申し上げます。 (また、ここで「終わり」 にすると成長が止まるといけないので満足しないように 次章予告しておきます。) 次章予告 「巳右衛門へび史観」 |
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2011年6月29日 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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『へびって?』(”へび”の事を調べてるページ) 蛇の目ってなんぞや?!(ホームに戻る) |
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